ぼくはレモネードやさん

感想:絵本「ぼくはレモネードやさん」

「可哀想な話」ではなく、むしろ生きることの喜びの表現として優れた、多くの方に手に取って欲しい素敵な絵本です。

知人の出版社から出されたもので、心を動かされる内容です。

小児がんになった子供が、自分の経験を描いた絵本なのですが、内容が大切なのはもちろんのこと、胸が痛くなるような描写もあるにもかかわらず、どこか突き放したようなあっけらかんとしたユーモアを感じさせる作品です。
自分でくぐり抜けた辛い経験と言うのは、表現としてはそういったものなのかもしれません。

絵に目を向けると、色使いが美しくスペースの取り方も繊細で、色彩や造形的なセンスを感じさせます。
率直に言って上手い。
また、この美しい色を出すための出版社の編集者や印刷会社の方々の苦労が伺える力作となっています。

私にも6歳の子供がおり、子供と一緒にこの絵本を読みました。子供がこれについてどのように感じたかまでは分かりませんが、何かしら心に残る部分があったのではないでしょうか。
こういった本を読んで「感動しろ」「可哀想だと思え」ではなく、何かしら心にひっかかりとして残ってくれると嬉しいと思います。

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