プリツカー賞受賞の建築家アレハンドロ・アラヴェナのインタビューを読みました

チリの建築家アレハンドロ・アラヴェナは、「建築界のノーベル賞」とも称される2016年のプリツカー賞を受賞しました。
アレハンドロ・アラヴェナは低所得者層向けへの集合住宅や、地震・津波対策など主にソーシャルハウジングの分野の仕事で知られています。本人の言葉によれば「知的な解決という意味で未開拓の分野」を切り開いた建築家です。

「建築家は現実世界の複雑さに直面した時、まずその複雑な状況をごく限られた変数で扱えるように単純化してしまう傾向がある」
「大事なのは、現実の問題の複雑さに建築の外側から取り組むという姿勢なのです」
「デザインの力というのは、複雑な問題を複雑さを保ったまま、過度な単純化を避けつつ扱うことができ、かつ結果的に実社会で使えるものを産み出せる」
「建築は、どうにも文化や芸術といった価値に必要以上に関連付けられてしまっている」

2011年にTOTOギャラリー・間で開催されたアレハンドロ・アラヴェナ展にあわせ来日したアラヴェナへのインタヴュー。個人的にとても考えさせるテキストだったので、リンクを付記します。こうしたインタビューを多くの人が読める形にしていただいたのは有り難いです。TEDのプレゼンテーションも日本語の字幕があり、わかりやすいものでした。

2014年のプリツカー賞を受賞した坂茂氏は、ローコストな紙パイプによる災害支援の建築物が評価されてのことでした。大量消費社会における嗜好品を中心とした文化・芸術におけるデザインは、ブランディングという経済合理性にかなった差別化の論理としての有効性は残しつつも、新しい価値を生むものではなくなってきています。デザインは「文化や芸術に所属し、何よりそれらに貢献するもの」という殻を破って、社会的かつ実際的なものに広範に寄与できるかどうかという分水嶺にきていると感じます。

〈2011年にTOTOギャラリー・間で開催されたアレハンドロ・アラヴェナ展にあわせ来日したアラヴェナへのインタヴュー。「建築の外側から考える」と題されたテキスト。聞き手:豊田啓介(noiz)〉
〈「未完成」建築の真意──プリツカー賞を受賞したアレハンドロ・アラヴェナ〉
〈アレハンドロ・アラヴェナ フォース・イン・アーキテクチャー〉