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私の名刺は四角いのです。

インクルーシブ・デザインという言葉をご存じでしょうか。イギリス発祥のデザイン概念で、これまでデザインのメインターゲットとされてこなかった障がいを持つ方や高齢者を、商品やサービスを生み出すプロセスの上流に巻き込むことによって、一般消費者にまで届くような商品を作り出すデザインの考え方です。

大事なことは「障がいを持つ方のため」ではなく、「障がいを持つ方とともに」創造的なプロセスを踏むことです。
私はこの考え方を自分なりに咀嚼し、仕事に積極的に取り込んでいくべきだと思いました。

四角い名刺は、目が見えない方に触っていただいても、すぐに違いがわかります。
ワークショップで目が見えない方に「これはおしゃれですね」と言っていただいたのが、とても嬉しかったことです。
また、ボード紙に活版印刷なので、手触りでも違いを感じ取れると思います。
もちろん、一般の方にとっても興味深いものなので、名刺交換をする際に、「なんで四角いんですか?」と聞いていただけますし、単純に「おしゃれですね」と言っていただくこともあります。
私の考え方なり思想をお伝えする機会にもなります。

以前、私に「たかが、名刺でしょ。」とおっしゃったお客様がいらっしゃいました。
名刺に手間なりお金なりをかけても何も変わらない、と軽い気持ちでおっしゃったのでしょう。
しかし、どのような小さな仕事でも「たかが」と思って作業をしては、「たかが」で終わってしまう。
また「自分の仕事には価値がある」と思うなら、人の仕事の価値も同様に信じるべきだと思います。

インクルーシブデザインは、近年、日本でも普及させようとしている方々がいて、こちらの書籍は実例も交えて、わかりやすく解説されていました。本文レイアウト中の欧文の数字が特徴的すぎてちょっと読みづらいかな…とも思いましたが。
インクルーシブデザイン: 社会の課題を解決する参加型デザイン

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