アンガーマネジメントは本当に必要か

アンガーマネジメントという考え方がありますが、これは日本人には必ずしも適していないのではないでしょうか。
というのも、日本人の多くはそもそも怒りを表現することが苦手だからです。
怒りを表現できない人々は、無意識のうちに「怒らないこと」を前提に物事を考えてしまいます。その結果、単なる摩擦回避や事なかれ主義に陥っていることに気付かないケースが少なくありません。
クライアントの中にも、知的で要領の良いことを話す若手は多くいますが、真に突き抜けた存在は見当たりません。
このような態度が望ましいものとして扱われる時代です。アンガーマネジメントは、そうした姿勢を正当化する口実になってしまっています。
本来、アンガーマネジメントは、自然に怒りを感じる人がその感情をコントロールするためのものです。それは理解できます。
感情的になった人は冷遇されたり、嘲笑の対象になったりしがちですが、若いうちに—特に社会人になってから—そういった経験をすることも必要なのではないでしょうか。
むしろ、そのような経験を通過しなければ、本当の意味で怒りをコントロールすることはできないのかもしれません。
現代社会は失敗に対して極めて厳しく、感情を表に出すことさえ失態として扱われがちですが、仕事に対して本気で怒りを感じるほど深く没頭できることも、時には重要なのではないでしょうか。
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