デザインの価値はクライアント次第

「川名さんにお願いするとコスト高いんでしょうね」と言われ、うーんと唸る。
確かに僕は安価なサービスを得意としていないため、激安とは言えないが、デザインは意図的に安くすることも可能で、そのこと自体は否定していない。
この考えをTシャツで例えると分かりやすいだろう。
ユニクロの数千円のTシャツも、ラグジュアリーブランドの10万円を超えるTシャツも、生地や縫製の違いはあれど、機能的には同じものだ。
ユニクロのTシャツは決して見劣りするものではなく、むしろ洗練された着こなしをする人も多い。
10万円以上のTシャツを着用していても、大半の人には価値の違いは分からないし、数千円のTシャツと比べて10倍長持ちするわけでも、10倍魅力的に見えるわけでもない。
真の違いは、Tシャツそのものではなく、そこに思いや理念(あるいは執念)を込めるクライアント側にある。それこそが、ビジネスの成果として表れてくるのではないだろうか。
クライアントがそのアイデンティティの具現化にこだわる場合、それに応えられる実力をデザイナーが持っているかどうかが重要となる。
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