著作権の本質から考えるAI時代のクリエイティブ

AI画像や動画をめぐる議論が続いている中、私自身もデザイナー、フォトグラファー、イラストレーターなど、様々なクリエイターの力をお借りしてプロジェクトを進めています。そのため、私が生成AIを積極的に活用していることに対して、複雑な思いを抱くクリエイターの方々もいらっしゃることでしょう。
根幹にある著作権は、クリエイターの権利保護だけでなく、文化の発展促進や知識の共有・活用という社会的な目的を持っています。
つまり、クリエイターの権利を守ることは、文化の発展を促進するための手段であって、目的ではないと考えています。
医療や学術分野ではAIの活用により新たな発見や進歩を加速させることに躊躇いがないのに対し、クリエイティブ分野ではAI活用に消極的な姿勢が見られます。しかし、これは著作権本来の目的である「文化の発展促進」に逆行しかねません。
権利保護が文化や科学の発展を妨げているとすれば、それこそが本末転倒といえるでしょう。
新しい技術時代における、真の文化発展のための制度のあり方を、今一度考え直す時期に来ているのかもしれません。
「文化の発展」は、これまでも新しい技術や表現手法を取り入れながら進化してきました。
写真技術の登場時も画家たちから反発があったものの、今では写真と絵画は互いに刺激し合い、共存しています。
AIも同様に、既存の創作手法と共存しながら、新たな文化的価値を創造していく可能性を秘めています。
「著作権はクリエイターの権利を守るものか」という問いに対しては、「守るだけでなく、社会全体の利益とのバランスを取るための仕組み」であると言えます。
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