AI囲碁指導がもたらす男女差解消の要因

AIによる囲碁指導が、いま静かに注目を集めています。囲碁に詳しいわけではありませんが、ニュースで「AI教師によって囲碁の男女差が縮小」という話を聞き、素直に驚きました。これまで囲碁といえば、人間のプロ棋士や有段者が初心者を指導するものだと思っていましたが、どうやら技術の進歩は想像以上に進んでいるようです。
とりわけ興味深かったのは、AIによる囲碁指導が「男女間の棋力差を縮めた」という実験結果です。中国では、AlphaGoと同じアルゴリズムをベースにしたAI教師を導入した教室で、生徒の勝率が50%から56%にアップしただけでなく、特に女子生徒の成績が大きく向上し、男女差がほとんど目立たなくなったとの報告があります[2]。理由としては、AIの指導には性別や過去の成績といったバイアスが入りづらいことが一つ考えられます。さらに、AIが提供する指導は個々の生徒の弱点を瞬時に分析し、最適な問題を出してくれるので、上達のペースが速くなるとも言われています。
女子生徒の反応が特にポジティブだったのも面白いところです。どんな学習でもそうですが、人間の指導者のもとでは、どうしても「先生に怒られそう」「恥をかきそう」といった心理的な負担を感じるケースがあります。AI指導だと、そういったプレッシャーがほとんどなく、没頭しやすいのかもしれません。昔から「囲碁は男女差がある」と言われることもありましたが、こうしてAIを導入してみると、実は性別による能力差ではなく、指導環境や先入観などが影響していたのではないかと感じます。
もっとも、AIがあらゆる面で人間の指導を完全に置き換えるとはまだ考えづらいです。囲碁には礼儀作法や対局者同士のコミュニケーション、人間だからこそ教えられる部分はたくさんあるでしょう。棋譜の解析や弱点補強をAIで効率化し、そのうえで人間の指導者が生徒のモチベーションを引き出したり、心構えや礼儀を伝えたりする。そうした二つの力を組み合わせることで、より豊かな教育環境が生まれるのではないでしょうか。
門外漢ながら、この流れは囲碁だけでなく、他の分野にも広がりそうな気がしています。個別最適化された学習や客観的な評価は、学校教育など様々な場面でも役立つはずです。人間ならではの情熱と、AIのフェアな視点が合わされば、今まで気づかれずにいたポテンシャルが花開くかもしれません。AIの囲碁指導が見せた「固定観念を打ち破る力」は、もしかすると私たちの教育全体に新たな風を吹き込んでくれるのではないかと、素人ながらワクワクしています。
 
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