生き残ったデザイン
かつて柳宗理のアノニマス・デザインという概念に惹かれていました。匿名性のデザイン。無名のデザイン。それは文化的な背景から立ち上がってくる、無意識的なデザインの形です。
アノニマス・デザインは私が求めていた匿名性とは少し違うもので、私のものの考え方に影響を与えたものの、哲学にはなりませんでした。今、そこから一歩離れて、自分のデザインに対する考え方の根底にあるものを「生き残ったデザイン」と名付けたいと思います。デザイン史の影のようなものです。
それは一つの冗談として、ずっと頭の中にあった概念でしたが、突然、心の中で大きな位置を占めてきました。
【surviving】[形容詞][限定用法の形容詞]生き残っている,残存している.
適者生存。生き残るためのデザイン。そのために進化するデザイン。必然性はなくとも、結果として生き残ったデザイン。新しさではなく、むしろプロヴィンシャルであるデザイン。次の世代に自分の遺伝子としてデザインを繋ぐこと。匿名ではないが、無名のデザイン。
自分の小さな家族を守る最小限、最低限の単位として。自分を信頼してくれる人のために、その場限りで役立つデザイン。毎日、ポストに入ってくる不動産チラシのように完璧で、100円ショップのビニール傘のように透明に、要求された機能を果たす。