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アイディアはどんどん変わっていい

人生少し長く生きれば、素敵なことを閃いたと感じる瞬間が幾度かあります。規模の大小はともあれクリエイティブとは、閃きを社会に流通させる技術です。

ただしアイディアを出すことに馴れていないと、当初のアイディアに固執してしまいがちです。また別の要因としては、どんどん作り変えていくだけの基礎体力がないので、ついついアイディアを捨てることをためらってしまうことです。いずれにせよ、当初のアイディアに囚われるのは危険なことです。固体化したアイディアは古くなり、閃きやインスピレーションの対極にある固定観念というものになってしまうからです。

ある海外の美術大学のカリキュラムにおいて、生徒を二つのグループに分け、一方には「たった一つだけ完成度の高いものを作る」という課題を出し、もう一方には「とにかくたくさん作ること」という課題を出し、同じだけの時間を与えたそうです。結果としては当初の予想通り、「とにかくたくさん作ること」という課題を与えたグループが、量ばかりではなく質においても優ったそうです。

アイディアを素早く捨てて、素早く作りなおすこと。少しでも矛盾を感じたら、諦めることも肝心です。素敵なアイディアの先に、もっと素敵なアイディアがあるというのは、よくあることです。これ、本当に実現できるのか?というギリギリのラインにあって「ワクワクできる」のがアイディアです。

ワークショップの利点

人に自分の考えを晒すことも重要です。複数の人数で行うワークショップ形式もよいでしょう。他人の頭の中には、文字通り想像もつかない世界が広がっていますので、全く別の角度からの新しい視点を得られます。しかし多くの人とアイディアを出す際には、肝心なポイントが幾つかあります。
・制限時間を設けること → 緊張感が生まれる
・アイディアを書き出す → 文字でも絵でも視覚化することでアイディアをアウトプットし、人と共有する
・自分の専門的な立場や手法を離れること → アイディアとは素人発想
・お互いの考えを否定しないこと → 発言しやすい雰囲気を作る
・結論を急がないこと → まとめだすと、ありきたりな考えに落ち着く
・多数決を信じない → 多くの人を説得するアイディアは、新しくもないどうでもいいアイディア
「何が起こるかわからない」他者とのポジティブな関係性の中にアイディアを放り投げて、化学反応を待つ。大声で人を制したり、理詰めで圧迫したり、結論を急ぐようなことをしてはいけません。人を信じて自分のアイディアを任すと言うと、少し素敵ではないでしょうか。

クリエイティブをグループで行う

アイディアを出すことというより「創造的な作業の集団化」が日本人は苦手なようです。これは所謂クリエイティブと言われる現場においてもそうで、トップダウン形式に慣れています。ポストイットを並べてお互いのアイディアを募るワークショップ形式は実際良くできた方法で聞いたことがある方も多いと思いますが、自分の考えを表に出すことに対して気恥ずかしい部分があるのか、実際にためす人は多くないようです。ワークショップには欧米の「口に出して」「議論をする」知性主義・合理主義的な文化が基盤にあるのかもしれません。しかし、もっとも現場に近い方々が、他人任せではなく問題に真摯に向き合い、コミュニケーションをとることこそ「カイゼン」の第一歩です。そのための手法は、お金をかけなくとも書籍など二三冊あたるだけでも知識として得ることができます。マニュアル通り、決められた通りにやる必要もないので、気軽に試してみることも良いのではないでしょうか。

近くを見て、遠くを見る

実際のビジネスや仕事の現場では、様々な制約やスケジュール・予算などでがんじがらめにされます。それでも人の創造力を無理矢理に一本道にして、そこにむかって山を切り崩したり、海を埋め立てたりする力技ではなく、一度深呼吸をして周囲を見渡して、何かいい方法ないかなぁくらいのぼんやり具合で始めるのが、アイディアの基本です。
人の想像力と同じように、解決法は無限にあるのです。

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