まさに、アイディアとは目線を変えることで見えてくること…。
「クリエイティブ・マインドセット(原題:Creative Confidence)」「デザインコンサルタントの仕事術(原題:DISRUPT)」。
これら二冊は、海外で主流を占めるデザインコンサルティング会社が、それぞれのフィロソフィーを交えて、市場に新しいアイディアをもたらす方法について語ったものですが、違う会社にも関わらず共通部分がとても多いので、二冊読むことでその内容に説得力が増した本です。
少し前からデザイン思考という言葉をよく聞きます。そもそもが海外のIDEOが提唱したものですが、言葉として少しわかりづらい感じがしているので、単純にアイディアを効率よく出すための思考法と考えてよいでしょう。
この二冊の本は実にわかりやすく、人間の発想力が訓練できることを示唆しています。「デザインコンサルタントの仕事術」の方が、手法やケーススタディにおいてやや実践的な感じでしょうか。
デザイナーやライターなど所謂プロフェッショナルは、すでに出来上がった市場の中に生きているという意味において、一流であればあるほど非常に保守的で頭の固い存在になることすらあります。人間の創造性というものは、絵がうまいとか小説が書けると言ったものではなく、まさにそういった硬直したイメージ(市場と言ってもいいかもしれません)に、それまでとは全く違う破壊的(DISRUPT)思考が持ち込めるかにかかっているということを、これらの本は示唆してくれました。
プロのクリエイターではない人の方が、ずっと市場に近い場所にいます。その意味では、潜在的需要にもっとも近いのは常に素人なのです。自分が置かれている状況には自分しかいないということに気づけば、誰にでも硬直した市場に変革を起こせる可能性があります。
コンサルティングときくと、日本ではよくわからないもの、何か高いお金のかかるものというイメージが強いようです。コンサルティングという言葉の定義自体が幅広く、どんな会社でもコンサルティングをしているとも言えますし、その手法は会社によって様々です。
ピージーでは、医療分野を中心として「グラフィックを基礎としたデザイン全般のクリエイティブ・ディレクション」としております。
案件の規模に応じて一人からチームを編成できるので、コストやニーズに合わせた調整が可能で、様々なお客様と長いお付き合いをさせていただいております。
グラフィックデザイナーとしてのベースがあり、代理店での経験を活かして幅広いディレクションを行うので、「Design Consulting」ではなく「Design+Consulting(デザインもする、コンサルティングもする)」なのです。
日本でデザイン・コンサルティングが根付かないのは、アートディレクターという本来は、監督的な立場の人間がどうしても手を動かしてしまうという職人的な風土も関係しているのかもしれないですね。
Dcoetzee「Hans Holbein the Younger-The Ambassadors-Google Art Project.jpg」(2015.8.17)