かなり以前から、「広告医学」というプロジェクトがあることを知っておりましたが、東京デザインプレックス研究所主催の「医学×クリエイティブ〜医学の世界はクリエイティブを求めている〜」というイベントがあったので、この機会にと思い、足を運ばせていただきました。
再生医学のトップランナーでありながら、人々に影響を与える広告的視点を医学に取り入れることで、生活する人々の行動変容(Behavior Change)を実現するコミュニケーションを研究する「広告医学」という概念を提唱されている横浜市立大学の武部貴則准教授と、HAKUHODO THE DAYの代表として多くの仕事を手がけたのち、EVERY DAY IS THE DAYを立ち上げ、共同CEOに就任したクリエイティブディレクター佐藤夏生氏の対談でした。
話がクロスするというよりも一方通行な部分もあり、医療とクリエイティブを結びつける難しさを感じたのですが、武部准教授の人となりと広告医学プロジェクトに関心を持ったので、東京デザインプレックス研究所の沼田さんに貴重な御時間を頂戴して、横浜市立大学病院×東京デザインプレックス研究所の産学連携プロジェクト「こころまちプロジェクト」についてご案内いただきました。
学生の力を借りた病院の待ち時間を工夫するプロジェクト。休憩室や案内マップ、患者さん参加のアート企画。学生さんにとっても素晴らしい経験値になっているかと存じます。
武部准教授にも日本とアメリカを股にかけて、大変なお忙しさの中、終始和やかな雰囲気で話を伺わせていただきました。
武部准教授の広告に関する知識の広さにも驚かされましたが、研究棟も案内していただき、自身の研究のわかりづらい部分に関しましても丁寧にご説明いただきました。病院にデザインプロジェクトを持ち込むため「小さなことからコツコツと」という言葉も身に沁みて理解できる部分があり、医療分野に実践的なクリエイティブを持ち込むことは、価値がある一歩だと思います。
ある程度以上規模の大きな病院における課題と、それに対するプラクティカルな解決方法を実際に見学することができたのは、大きな収穫です。自分が頭の中で考えていた課題とそこまでズレがなく、今年度のプロジェクトに活かしたいと考えております。
広告医学においては、医療者・研究者である武部准教授が発案しているということが、大切だと思いました。
やはり現場に近い人が普段感じているストレスや課題は現場の人間が語ってこそもっとも説得力があります。現代デザインは構造の外側からアプローチするのではなく、当事者・参加者こそが主役です。デザイナーはその課題を「見える化」するお手伝いが出来ます。医療のクリエイティブは医療者の方にこそあるのであって、デザインもデザイナーもそのための道具として使っていただくのが良いと思います。
icon-angle-double-right こころまちウェブ – 横浜市立大学
icon-angle-double-right 広告医学
icon-angle-double-right 東京デザインプレックス研究所
追記:2018年になってから、武部さんは准教授から教授になられ学内で現役最年少とのこと。おめでとうございます。
icon-angle-double-right 31歳教授、横浜市大で誕生 学内で現役最年少