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魅せる、伝える、伝わる工夫

たまに、海外の研究者が発表する研究会やシンポジウムに参加させていただきます。日本の研究者が英語で作成したスライドと、欧米人が英語で作成したものを見比べて思ったのは、やはり欧米の方は欧文書体の使い方がこなれているということです。見ていて楽しいですね。

逆もまた真なりですので、海外で日本語をみかけると、文字のバランスが不自然だというのは多くの方が感じることだと思います。やはり日本人が英語を扱うと、英語を母国語とする方々には一歩譲ります。

伝えることにかける労力・工夫

それは当たり前といえば当たり前なんですが、レイアウトやスペースの取り方、イラストの入れ方も海外の研究者はとても上手なんじゃないでしょうか。デザイナーではなく医学・医療分野の教授や研究者なのに、書体の選択から空間の取り方まできちんとした美意識が感じられる。ちょっとびっくりするほどで、中途半端なデザイナーより明らかにうまい人もいらっしゃいます。

研究内容を云々することは私の分野ではないのですが、情報を設計するという観点から見ると、スライドの情報をきちんと整理してまとめている。

内容を分ける。リストにする。だらだらと続けるのではなくメリハリのきいた空間を意識する―当たり前のことのようですが、「人に見せる」という意識が総合的に高い。それがスライドを美しくまとめるクオリティから、我々から見るとやや大げさな身振り手振りなどの所作や表情、人が退屈しないようにユーモアを入れるといった技術にまで繋がるのだと思います。

ただ見せるだけでは半分も伝わらない。時には「魅せ」なければならない。欧米では研究者でも人前でプレゼンするためのレクチャーを受け、厳しく採点されるとのこと。伝えたいことを「伝わる」ようにするためのパフォーマンスとも言うべき部分を、訓練して身につけている印象です。

我々はよく「横文字(英語)にするとなんかカッコイイ」と感じますが、それはアルファベットそのものがカッコイイのではなく、欧米文化につらなる、彼らが持つ文字そのものに対する洗練された美意識を見ているのではないでしょうか。

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