SIGNS OF LIFE™について

来期は新しい挑戦といたしまして、洋服(Tシャツ)をやります。

今まで、医療/デザインという領域に20年近く携わってきました。
当時は「地味で固くて、つまらなそうですね」というクリエイティブ業界からの哀れみやら何やらをずっと感じてきましたが、少し時代が追いついてきたかなという気もいたします。

医療情報というのは、まさに人間の生命の情報ですが、私はそれを多くの人に伝わる形にする作業、ときにはシンボライズであったり、記号化であったり、情報の整理であったり。いわゆるデザインにずっと携わってきました。

でも私が医療職や研究者の方々とのコミュニケーションを通して経験したことや知識について、何をわかっているかというと、実はよくわかっていない、せいぜい何もわかっていないということがわかったくらいなんですね。

その医療と身体、情報を認識する主体としての個人という関係の曖昧さは、実にごく普通の、一般人の感覚なんじゃないのかと気づきまして、多くの方に共感して、考える機会を提供できる表現として定着できないかと考えるようになりました。

医療/デザインより一歩踏み込んで(踏み外して?)、生命と身体/記号と象徴、そしてどこかにある個人の「心」のバランスにこそ(私の)デザインが携わる主題があるのではないか。肉体にもっとも近い被服、あるいは何かしらのメディアを通して、そういったコンセプトを表現できないか。

あとは、デザイナーはクライアントに対して簡単に「(デザインとしては)このほうがいい、こうした方がいい」と言います。しかし、自分が身銭を切る立場として、そういった判断ができるのか。そのプレッシャーに耐え、「デザインとして正しい判断」というものをきちんとした成果に変えられるのかという思いもありました。

独特のアニミズムのような謎めいた生命力を感じさせる、木霊のような可愛いシンボルマークは、コムデギャルソンやパルコ、YMOなどの広告や音楽ジャケット、写真集を多く手掛け、ジャンルを横断した仕事を続けている、尊敬するアートディレクターの井上嗣也さんに作ってもらいました。柳田国男が集めた民話のように、人間の中に自然と存在する霊的なものに対する感性を感じさせます。多分、妖精とか妖怪の類なのでしょう。井上さんらしい優しさとか自由で鋭い直感というか、自然の中に感じる精霊や魂のようなイメージが出ています。SIGNS OF LIFE™の核心に触れるテーマを私以上に理解していただき、瞬間で捉えていただきました。。

来期はそういったことをやっていきつつ、従来の医療のクリエイティブコンサルティングもやっていきますので、どうぞよろしくお願いいたします。