東京のKITTE内のミュージアム「インターメディアテク」において開催されている「医家の風貌」展を観ました。点数はあまりなかったのですが、東京大学病院に病院長として勤務した、大学と縁が深い医師の肖像画や彫刻などが展示されています。
コンテンポラリーアートの作家や評論家と交流がありますが、それとは全く別のこういった展示は面白い試みだと思います。その時その場所において、医学の文脈を作り上げ、病院に貢献した方々の相貌や、それを写し取る作家の眼差し、技量はとても興味深い。
医師は何を伝えようとしていたのか。作家は何を表現しようとしていたのか(あるいは何を隠すのか)。知性、真実、尊厳。あるいは観る側の空想なのかもしれませんが、そこにあるせめぎ合いと表現上の誤差は、医学情報を視覚的に整理する自分の仕事にも一脈通じるものを感じます。もう少し点数があるとコンセプトもはっきりして、より面白くなるのかもしれないのですが。
その他には東京大学が所有する学術標本や研究資料など、「学術文化財」と呼ばれるものの常設展示があります。化石や骨格、昆虫の標本などあまり系統だった展示ではないのですが、やや雑然としながらも全体的に落ち着いた空間です。古い化石や標本を観ていると、無常観に因われますね。KITTEはざわざわとしていますが、ここは人がいても静かな感じで、少しほっとします。