書籍装丁しました。
帯はトレーシングペーパーに蛍光色だから、実物が綺麗ですので、ぜひ手にとってご覧ください。
『健康禍 人間的医学の終焉と強制的健康主義の台頭』 | ペトル・シュクラバーネク | 大脇幸志郎 訳
【生活の医療社 直販サイト】 【Amazon公式サイト】
訳者も編集者もなかなかのドン・キホーテで、『健康禍』も彼ららしい着眼点がある本なので、私もじっくり読ませていただくつもりです。
お二人がかけた労力と犠牲に比べたら、私が関わったのはほんの少しですが、私が介入したことで、この書籍を一人でも多くの方が手にとってくださるとしたら、ありがたいことです。
『健康禍』という書名について
編集者の方が、タイトルは中島敦の『文字禍』からヒントを得たと語っておられました。
『文字禍』とは、文字には霊が宿っていて人間に災いを及ぼすという話です。世の中をより良くしてくれるはずの文字が存在するがために起きる不具合、災い、不幸といった意味でしょうか。
「この文字の精霊の力ほど恐ろしいものは無い。君やわしらが、文字を使って書きものをしとるなどと思ったら大間違い。わしらこそ彼等文字の精霊にこき使われる下僕じゃ。」(『文字禍』より)
『健康禍』とは、本来は人々に役立つはずの「健康」という概念に、逆に人々が使われるようになることで、社会や個人に及ぼしうる悪影響として捉えられているのだと思います(『文字禍』は、無自覚なデザイナーへの警鐘でもありえます)。
『「健康」から生活をまもる』
大脇幸志郎さんのもう一つの著書『「健康」から生活をまもる 最新医学と12の迷信』が6月に発売されており、同じテーマを扱っています。
「健康」から生活をまもる 最新医学と12の迷信 | 大脇幸志郎
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帯に推薦文として、名郷直樹先生が『この本には「医療が命を救う」みたいなこととは対極の愛がある』と語っておられます。
私もこの本を読んで、愛という言葉はしっくりくると思った次第です。
内容は強い言葉で論理的に綴られておりますが、市井に生きる人々の不真面目さも含めた人間性や、生活に寄り添う愛情が根底にあるように感じました。
私にとって親しい方々にこそ、この本を読んでほしいといいますか、人文科学や芸術分野を愛する人々にお読みいただきたいです。