先日作らせていただいたクリニックの診療案内リーフです。目黒区とか都立大のイメージに引っ張られた感があって、土地とか場所のイメージは人に影響を与えることを感じます。
仕事の判断材料として、相手の表情とか、雰囲気とか、手の動かし方とか、目の動きとか、皮膚のツヤとか、話すときの間の取り方とか見ています。その中から「本当にそう思っているらしい」ものを選びます。繰り返すと精度はあがるので、相手の人間性がみえるまで付き合うことも大事です。
完璧にみえる合間からこぼれ落ちてくる人間性が大事で、誰かの中にあるエネルギーが上昇して、また抜け落ちていく過程に本質が見え隠れします。
言葉で同じ「赤色」でも目や手の動かし方、間の取り方とか、呼吸を感じることで、その意味は千差万別です。デザイナーはmacが使えるからではなく、そういうものを見るからデザイナーなのだと思います。
だから「赤はいやだ」と言われても、私は赤色にすることもあります。
もちろん大切なことは「私のわがまま」ではなく、クライアントすら意識していないような無意識の中に答えがあるということです。その意味でクリエイティブの主体はデザイナー側ではなく、いつでもクライアントにあると私は考えます。
自分が知っている自分と、他人が知っている自分は全く違うものではないでしょうか。自分が知っている自分が本当の自分というわけでもありません。その揺れ動く輪郭の合間に、本質が少し見えるのです。
写真は山口敦さんにお願いしました。暑い中、自分が玄関に写り込まないようにアクロバチックな姿で撮影した日が懐かしく思い出されますね。
icon-angle-double-right 駒沢ハートクリニックのウェブサイト